インド式計算マスター誕生秘話 その4

 そんなある日の事、おそらく2007年の3月か4月頃のこと、ふと立ち寄った本屋に並べられていた本の表題に目をやって、かなりびっくりしました。そこには「インド式計算」の文字が。その1冊を手に取ってみるとまさしくあのインド式です。それからさらに驚いた事には、そのうずたかく積まれた本の横に積まれているのは、同じインド式計算の本なのに、別の出版社から出されている本です。表紙が似ているので、よく見なければ気がつきません。そして前の棚を見るとさらに違う出版社のインド式の本が。全部で5種類ほどあるのです。
 「ああ、やられたなあ」と思いました。やはり何としても出版社まで持って行って出版を掛け合えばよかったと思いました。
 しかし、またそれらを読み進むうちに、自分の考えていたインド式とは少し違うなという感じも持ちました。第一、すべて面積図の考え方で解いている訳ではありません。いろいろなパターンに分けて場合場合で都合のよい解き方を示しています。
 なるほどなあと感心もしました。しかし、大きな欠点もあります。それは問題量が少なくすぎて、理論がわかっても実際これで身に付くだろうかという事です。以前に書いた私の「インド式九九の覚え方」をご覧いただければわかるように、徹底した繰り返し練習でパターンを覚え込む事を主眼としていました。実際、問題の内容の理解が前提となる事はもちろんですが、それさえできればあとはパターンを覚えてしまうのが一番力のつく勉強方法です。
 これでは「なるほどなあ」と感心する人も多いだろうし、本も売れるだろうが、実際それを自分のものとして身につけ、実生活上で役立てる事のできる人などいないだろうというのが私の結論でした。(続く)